義務教育期間中1回も眼科耳鼻科健診がない?

もう少しで、学校健診も終わりになります。開業当初は18校も受け持って昼休みもなく駆け回っていたころを思いますと、今は7校ですから、楽になりました。

多くの方は就学時から始まって高校3年まで毎年のように春に内科、歯科、耳鼻科、眼科の4科の学校検診を受けていると思います。ところが同じ群馬県で義務教育期間中9年間1回も耳鼻科、眼科の健診を受けられない児童生徒がいるのです。

前橋、高崎、太田、伊勢崎、桐生などの都市部では眼科耳鼻科医も充足しており、予算もあるため毎年の健診が受けられます。また、「行政上のへき地」にしてされている学校には「へき地巡回健診」という制度があります。これは群馬県の素晴らしい制度です。都市部の耳鼻科医、眼科医が登録して、順番に小学校6年間で2回中学校3年間で1回、学校に出向いて健診を行っています。不充分かもしれませんが、全く健診が無いよりはましかなと思っています。

問題なのは、都市部ほど予算などに余裕がなく、へき地指定にされていない中間部の市や町では内科の先生が兼任しているのが実情です。耳鼻科は特に専門性が高く内科の先生が耳、鼻、喉のすべてを診るのは大変かと思います。文部科学省に聞きますと、4科分の予算は地方交付金で配布していると答えます。実際は地方議会で予算の配分を決めますので、3科分は他の用途に使われているのでしょう。一度他に予算が回ってしまいますと取り戻すのは至難の業のようです。

高崎市や伊勢崎市では手厚く学校検診を行っているのに、川一つ挟んでお隣の藤岡市では9年間全く耳鼻科眼科の健診が無いという現実を見ますと、住んでいる場所で子供たちの健診に格差が生じていいのかという気持ちになります。行政の問題になりますので、一開業医ではどうにもならず、歯がゆい思いになります。早く議会で予算が付けばよいなと思っています。